絶妙な角度

外の世界はそこそこに精神世界で生きていこうと思考錯誤している若手農家です。興味のあるジャンルを徹底的に思い込みで執筆していきます。

ダイズシストセンチュウを発生させるには

逆説的ですがダイズシストセンチュウを発生させるにはどうすればよいかを考えてみました。

1、マメ科を連作する。
緑肥を除き、主にマメ科の植物の根に寄生して養分を奪い、次世代を作っていくダイズシストセンチュウ。マメ科連作が発生させるキモでしょう。

2、土壌を単一化させる。
ルーチン化、パターン化された有機肥料、化学肥料の施肥で土壌微生物もワンパターンに。土壌内で生態系の拮抗性が無くなり、一人勝ち状態に。さらに一度センチュウが発生したパターンに沿ってその後も施肥していく事になるのでセンチュウは減りません。

3、過剰に施肥する
これが一番の要因だと考えています。有機肥料、化学肥料問わずに過剰な施肥はあらゆる病害虫の元です。化学肥料だからダメ、有機肥料だからイイ、というわけでは決してありません。
既に前記事で考察している通り、病害虫の異常発生要因は過剰な施肥(主にチッソ分)によるメタボ野菜が原因です。多くは農薬で抑え込んでいる為に病害虫の症状が出ないので気がつきません。

4、土壌を過乾燥させる
土壌の乾燥により適切に供給されていた地力チッソである有機体チッソが科学変化を起こし、欲求無視でどんどん作物に吸収される硝酸態チッソに。その時の生育環境により、作物は使い切れない硝酸態チッソアミノ酸が蓄積しメタボ状態に陥ります。(上記3とも兼ね合います)
乾燥により硝酸態チッソが枝豆に溜り、また水分量が絞られている為に光合成チッソ変換がスムーズに行えず体組織の構成も進まない。見た目とは裏腹にどんどんメタボ枝豆になっていきます。
ここに葉や軸にチッソ過多の兆候が現れ、病害虫がそれを嗅ぎつけ侵食が起こるわけですが、土の中でも同じ事が起こっていると推測できます。ダイスシストセンチュウはマメ科の根が発する特有の物質を頼りに寄生しますが、上記の条件により、過剰にその物質が根から出ていたとするとセンチュウを呼び込むには容易い。
今年の5月〜7月は土壌が乾燥気味でしたが、枝豆のダイズシストセンチュウが多発しました。土壌の過剰な乾燥は堂々とダイズシストセンチュウ発生要因の一つとして考えられます。

ではダイスシストセンチュウを発生させないようにするには?
・連作しない
・施肥の種類を増やして土壌細菌を豊富にし、土壌をパターン化させない。
・地力チッソを把握し、施肥を絞り込む。
・作り込まれている土壌の場合、チッソの硝酸化が怖いのでむやみやたらに乾燥させず適時潅水する。
・枝豆に適切な気温でストレスなく栽培する。

大切なのは最後、旬の野菜は旬の時期に栽培するのが一番土壌にも野菜にも、そしてそれを食する我々の体にも良いという事です。体を冷やしたり、温めたり、季節によって旬の野菜や果物というのは役割があります。(いくら体に良いからといってトマトを冬に食べるなんて体を冷やす大元です)
市場では我先にと季節外の野菜が早出し栽培され、それが高単価でもてはやされている現状があります。我々都市農家はハウスをフル活用してそのような市場の穴を狙って単価を上げていくしかありませんが、これは土壌を痛めつける要因に繋がります。
無理な栽培はやはり無理目な施肥や栽培技術が伴います。ここにダイズシストセンチュウだけではなく、あらゆる病害虫が発生する原因があるのではないでしょうか?